薔薇を献じたる手に余香あり
2024年12月28日
「薔薇を献じたる手に余香あり」
お客様からいただきました。
「お客様」と言っても、実際はうちでお世話することはできなかった方でした。
Sさんはご紹介のお客様で、足が不自由との連絡があったのですが、僕からは「問題ありません」とお伝えしていました。
ご紹介予定のお部屋はうちの直接管理物件で、1階と言っても3段上がらないといけないアパート。
「一緒に見に行って大丈夫そうなら」という条件付きでしたが、道中も左手を僕が支え、右手は杖をついて歩行される状態でしたので、実際は1段でも無理でした。
駅前のタクシー乗り場までの道中は優しいカップルが手助けくださいました。
その後は、他社さんの管理物件に問い合わせてOKをいただいても(OKをいただいた5件の同業の方には感謝しております)、事前調査で1段でも上がらないといけなくて断念せざるを得ない状況でした。
1ヶ月くらいご連絡できずにいたところ、先日、電動シニアカートに乗ってご来店くださいました。
Sさんには他の不動産屋さんにもお願いしてくださいとお伝えしていたのですが、転居先が見つかったとの報告をしにわざわざ永福町から来られたのでした。
Sさんが言うには、うちの前にお部屋を紹介してくれた所は実は1店も無かったそうです。
家賃支払の確実性は生活保護受給のため問題無し、生活状況も介護の補助があるとのことで問題無しで、人柄・話し方・雰囲気・態度等の人物査定も「良」評価でしたので、うちの(僕の)審査基準はクリアしておられました。
だから、きっとどこかの不動産屋さんが手を差し伸べてくださると思っていました。
うちでご紹介できなくて残念とは思っていません。
安心でいっぱいのSさんの笑顔を拝見して、僕も嬉しかったです。
追記
昨日、そのSさんから日本酒が届きました。
ご来店時に「お酒は飲まれますか?」と聞かれたので、「アルコールは強くないうえ、苦いものが苦手なのでビールはダメだけど、日本酒なら少し」と話したのを覚えていたようです。
ご自身で包まれたのでしょう。
包み紙は新聞紙でした(底部は包まれていなかったので、間違いないと思います)。
手紙が添えられていました。
瓶を包み、段ボールに入れているSさんの姿が目に浮かびました。
Man at his best.
人の価値は、その心掛けで決まる。
良い人と出会えました。